コラム

解雇されて給料が貰えなくなったらどうすべきか

ほとんどの人は勤務先の会社からの給料で生活をしています。
ある程度の預貯金がある人もいるでしょうけれども、万全な蓄えをしている人は少ないと思います。
あなたが会社と何らかの事情で揉めるようなことがあり、会社から解雇を通知されたらどうするか。
この解雇が法的には無効であると考えられる場合、どのような手段が考えられるか。
会社は解雇予告手当を支払うでしょうが、毎月の家計から支出される金額を想像してみて下さい。
2、3ヶ月もすれば預貯金も現金も底をつき、経済的に破綻してしまいます。
転職活動をして再就職をしようにも、とんとん拍子で再就職先が内定するとも限りません。
このように、会社から解雇されてしまい、その解雇が無効であると考えられるケースでは、あなたの生活に必要なお金を確保するために取るべき手段があります。

1 解雇されても賃金を貰う方法
解雇されてしまったら、当然、以降の給料は貰えません。
しかし、それでは諸々の支払いができなくなってしまい、生活が破綻してしまいます。
あなたに対して極めて重大な影響を及ぼすこの解雇が、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められないときは、その解雇は無効になります(労働契約法16条)。

こうした状況に陥った場合、すぐに弁護士に相談しなければなりません。
あなたの生活基盤が失われようとしています。
一刻も早く弁護士に依頼して、法的手続きを取るべきです。

賃金を確保するために取りうる手段は、次の3つです。
・賃金仮払仮処分の申立て
・労働審判の申立て
・訴訟提起

給料が貰えなくなると生活基盤が失われますから、とにかく急ぎます。
そうした場合、まずもって検討するのが賃金仮払仮処分の申立てと、労働審判の申立てです。
労働審判は3回の期日内で大半のケースが和解で終結しますから、早期解決には適合します。
しかし、会社と和解できなければ、訴訟に移行します。
訴訟に移行すると、解決までに長期間を要し、その間に経済的に破綻する可能性があります。
賃金仮払仮処分であれば、原則として3ヶ月以内に裁判所が結論を出すため、早期に賃金の仮払いを受けることができることから、とにかく早期に生活基盤となる給料を確保するのであれば、賃金仮払仮処分の申立てをすべきです。

2 賃金仮払仮処分の概要
解雇の効力を争うとき、賃金仮払仮処分の申立てを速やかに行い、あなたの収入がゼロになる事態を防止する必要があります。
賃金仮払仮処分は、仮の地位を定める仮処分と呼ばれるものです。
賃金仮払仮処分の申立てをすると、1〜2週間後には裁判所に呼び出されて審尋が行われます。
この審尋で、あなたと会社のそれぞれの言い分を、裁判所が聞き取ります。
賃金仮払仮処分は、3ヶ月以内には裁判所が結論を出しますから、取り急ぎ収入を仮に確保する手段としては、最速です。
しかし、仮処分というのは暫定的なものです。確定した結論が出たわけではありませんから、賃金仮払仮処分の申立てが認められた後、速やかに労働審判か訴訟の提起をして、解雇の有効性に関する結論を出す必要があります。

3 解雇されたとしても仮に確保できる給料
賃金仮払仮処分の申立てが裁判所に認められた場合、どの程度の収入が仮に確保できるのでしょうか。
これまでにあなたが会社から貰っていた毎月の給料と同じ金額が貰えるわけではありません。
賃金仮払仮処分では、「債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるため」(民事保全法23条2項)に必要な限度で、賃金仮払仮処分の申立てが認められます。
これまでに会社から貰っていた給料額は、仮払いされる賃金の上限となります。
どの程度の賃金が仮払いされるかは、あなたの資産状況、親族や労働組合からの援助の有無、毎月の家計の状況などを考慮して決定されます。
また、どの程度の期間にわたって給料が仮払いされるかですが、裁判が終わるまでとすると会社の負担が大き過ぎますので、裁判所は、通常、1年間に限り賃金の仮払いを会社に命じます。

4 給料を確保するために弁護士に依頼するには
賃金仮払仮処分の申立てをするには、疎明資料が必要となります。
解雇が無効であるから、まだ従業員として給料を貰えるんだ、という主張をしますから、これに役立つ資料を集めます。
どのような資料が必要かは事案によって異なります。共通するのは就業規則や雇用契約書、解雇通知書などでしょう。
弁護士と相談し、必要な資料を揃えて下さい。
また、賃金を仮払いしてもらえないと生活が破綻することも疎明する必要があります。
これについては、直近3ヶ月分程度の家計表、給与明細、その他資産状況がわかる資料が必要となります。

会社を解雇されて収入を絶たれてしまった、しかしその解雇は無効と考えられるとき、すぐに行動しないと生活基盤を失います。
弁護士に相談しましょう。